2013年3月25日月曜日

ふんわり出汁巻き卵を作ろう


たった今、ケーキが焼き上がりました。夜中だけど。パウンドケーキです。クルミとドライフルーツのリンゴ入りです。甘くないやつです。

焼き立てを味見しましたが、仕上がりは上々。一晩経ってバターが落ち着いたらもっと良い感じになるでしょう。明日の朝食です。


今日は晩ご飯に出汁巻き卵を焼きました。蕎麦屋では定番なので、僕は店では毎日のように焼いています。


甘いのがいいとか甘くない方がいいとか好みは色々あると思います。ちなみに僕は、甘いのは苦手です。

ごはんのおかずにはもちろん、お弁当の一品として、また、酒の肴として大活躍、みんな大好き出汁巻き卵。手際良く巻けたらカッコイイですよね。


ちなみに店で出している出汁巻き卵の材料は

・卵3個
・出し汁70ml
・砂糖少々
・塩少々
・酒少々

です。

出し汁は、かけ出汁。つまり、温かいそばのつゆですね。ですので、家庭で作る場合は、めんつゆや白だしなどを、スープとして飲める濃さに調節したものを使って下さい。

酒を加えると、仕上がりがふんわりとします……と教わりましたが、ほんの少し入れるだけなので、違いはよく分かりません。僕は家で作るときは入れません。正直どっちでもいいです。

甘めがお好きな方は、砂糖を多めに入れると思いますが、砂糖が多いと焦げやすくなるのでご注意を。


卵3個に対しての出汁の量(酒を入れる場合はトータルの水分量)は60~70mlくらいが適量です。これより少ないと、卵に火が通り過ぎて硬くなってしまいますし、逆に多いと固まらず、上手く巻けません。


綺麗に巻くポイントは3つあります。

1.強火で鍋を充分に熱する
2.油は多めに、そしてこまめに
3.一度に流す卵液の量は少なめにする



1.鍋を充分に熱する

よく、卵が焦げるのを怖がって、中火や弱火のまま鍋(卵焼き器のこと)に卵液を流し込む方がいます。

しかし、火が弱く、鍋が充分に温まっていない状態で卵液を入れると、鍋の温度が下がり、卵がくっつき易くなってしまいます。

巻き始めから巻き終わりまで、一貫して強火でいきましょう。鍋の温度は下げてはいけません。

巻き始めのときの目安としては、卵液を付けた菜箸で鍋に筋を付けてみて一瞬で固まればオッケーです。

卵液を流した瞬間、卵が膜になって浮き上がってくるぐらいがベストですね。


2.油は多めに、そしてこまめに

鍋に敷く油は「ちょっと多いかな」と感じるくらいの方が良いです。

卵液投入
→手前に巻く
→鍋奥側に油
→巻いた卵を奥へ移動
→手前に油

このサイクルを繰り返します。

小さめの器に油を多めに入れて、キッチンペーパーを折り畳み浸した物で、鍋に油を塗るようにすると手際よくできます。


3.一度に流す卵液の量は少なめにする

「巻く回数が多くなると失敗しそうだから」

と、卵液を一度にたくさん流し込んではいけません。

それだと鍋の中が卵液の水溜りみたいになってしまって、卵が加熱されるまでに時間がかかります。その結果、底の方の卵は焦げてしまいます。

目安としては、クレープの生地くらいの厚さでしょうか。全体に行き渡る最低量といった感じです。

流し込んだらすぐに鍋全体に、均一に広げることが大事です。もたもたしていると既に巻き終えた分とくっつかなくなってしまいます。流し入れたら巻いてある卵を持ち上げて、手際良く隅々まで流してあげましょう。





1.強火で鍋を充分に熱する
2.油は多めに、そしてこまめに
3.一度に流す卵液の量は少なめにする



出汁巻き卵を上手に巻くにはとにかくテンポが大事です。

綺麗にひっくり返せるようになるには練習あるのみですね。手首だけで返すよりも、膝を使って身体全体で返すとやりやすいと思います。


ちなみに和風出汁以外で僕がよく使うのがウェイパーです。粉末の鶏ガラスープでも良いでしょう。どちらも鶏ベースのスープなので、鶏卵との相性が悪いはずないですから。一味違った美味しさがありますよ。

2013年3月15日金曜日

フワッとしたかき玉汁を作ろう


スープを作って最後に溶き卵を回し入れて、かき玉汁にする。

ワカメスープなど「ちょっと具が少ないかな」というときに卵をプラスするだけで、見た目もボリュームもアップして、美味しそうですよね。

スープの味や具材はお好みで構いませんが、卵をふわっと纏めるにはコツがあります。


それは、

「スープが沸騰している状態で卵を細く回し入れること」

です。


かき玉汁を上手に作るには、卵がスープに触れた瞬間に固まる必要があります。

スープの温度が低い状態のまま溶き卵を入れてしまうと、固まりきらないまま沈んで鍋底にくっついてしまいます。そうすると、底の方で塊になったり、最悪、焦げ付いてしまいます。


さらに沸騰していても、卵を全部ドバッと一気に入れてしまうとスープの温度は下がってしまって、結果、やはり卵は沈んでしまいます。


スープの種類にかかわらず、充分に沸騰している状態を確認してから、細く、中心から外側に向けて円を描くように入れていくとフワッと上手くまとまりますよ。



ちなみに僕は、生姜を利かせた鶏ガラベースの中華風トマトスープに溶き卵を入れて仕上げるのが好きです。

トマトと生姜という組み合わせが最初は意外でしたが、驚くほどマッチして美味しいですよ。


昆布茶は万能の調味料


僕は昆布茶が嫌いです。

昔、学生時代にラーメン屋でバイトしていたときのこと。

休憩時間におかみさんが昆布茶とお茶菓子を出してくれました。そのとき初めて昆布茶というものを飲んだのですが、湯呑から立ち昇る匂いでもうダメでした。

何と言うかあれは、僕には海水を温めたものにしか思えないんですね。

ですので昆布茶をお湯に溶かして飲む、というのはどうしてもできません。



しかし。



僕は昆布茶をよく使います。

なぜならそのまま飲むことはできなくても、調味料として使うとあれほど便利な物はないからです。


主に、炒め物や煮物の料理の仕上げに一振りすると、断然美味しさがアップします。和風スパゲティにも欠かせません。

旨味と甘味と塩分のバランスが非常に良い。そして何より、粒子が細かくサッと溶けてくれるのでとても使いやすいのです。



基本的に料理を美味しく感じるには「旨味+塩分」が必要です。「旨味」は簡単に言えば出汁のことですね。


味噌汁を作るとき、豆腐を茹でたお湯に、味噌を溶かしただけでは美味しくないですよね。それはもはや味噌汁ではなくて、薄ーい味噌風味のお湯でしかありません。

なぜ不味いのか。それはそこに旨味が一切入っていないからです。


鰹節や昆布、いりこなどで出汁を取って、そこに具材を入れ、味噌を溶いて初めて味噌汁として完成するのです。

逆にしっかり出汁を取っていれば、具材が一切入っていなくても、美味しい味噌汁は作れます。

僕は味噌汁を作るとき、毎回出汁を取るので面倒だと感じたことはないのですが、出汁を取るのがメンドクサイという人のために「出汁入り味噌」が売られていますよね。


この「旨味(出汁)+塩分」というのは全ての料理の基本になります。

「塩気は足りてるんだけど、味が今一つなんだよね」
「何かコクが足りてない気がする」

というときは旨味が不足している場合がほとんどです。


豚汁のように具だくさんで、肉も野菜もたっぷり煮込んで作るような料理であれば、水だけで作ってもそこそこ出汁は出ると思いますが(僕は豚汁でも出汁を使いますけど)、普通に炒め物や煮物を作る場合は、出汁(旨味)の存在は必要不可欠です。



野菜炒めを作るときに塩だけ、醤油だけでしか味付けをしない人がいますが、それでは美味しくありません。なぜなら旨味が足りないからです。

醤油、味噌、塩というのはあくまで「塩分」と考えておきましょう。

もちろん炒めている野菜や肉にも旨味はあります。出汁も出ます。しかし、圧倒的に足りないんですね。

ただ、炒め物の場合は液体の出汁をたくさん使うわけにもいきません。そこで、「旨味の入った調味料」を使うのです。

昆布茶はもちろん、中華系であれば鶏ガラスープの素やウェイパー、洋風ならコンソメなどですね。

その中でも昆布茶は一番クセが少なくて使いやすい。



僕は味の素というのはこれまで一度も使ったことがないので分かりませんが、味の素も旨味成分の塊みたいなものらしいので、それを加えるのもいいかもしれませんね。


塩分に旨味をプラスすること。

常にこれを意識するだけで、料理が格段に美味しくなりますよ。

昨日の晩ご飯


昨日の夜、更新し忘れたので今頃書いてみます。

献立
・豚肉生姜焼
・ほうれん草とひじきの白和え
・なめこと豆腐の味噌汁
・浅漬け
・白米



・豚肉生姜焼


豚小間切れと人参と木耳と玉ねぎと椎茸を使いました。

豚肉は特に下ごしらえはしていません。大きめ、厚めの肉を使う場合は、酒、醤油、すりおろした生姜などに浸けておいてもいいでしょう。

木耳は水で戻しておきます。最近僕の中で木耳は、肉野菜炒めには欠かせない食材となりました。あの、コリコリとした歯触りは他の食材では得られません。良いアクセントになります。

ちなみに僕は、木耳の石づきは取りません。料理の本を見ると必ずと言っていいほど「石づきは硬いので取り除きましょう」と書いてあります。以前は僕も言われた通りにしていたのですが、実際に食べてみるとそこまで気になりません。とくに、ある程度のカットするならなおさらです。

「果物は皮ごと食べるかどうか」みたいなのと同じ感覚じゃないですかね。これは好き好きですので、気になる方は取り除いて下さい。


人参は千切りにしてそのまま炒めました。太い方が好きだという場合は、拍子木切りにして容器に入れてラップをし、軽くレンジで火を通しておくと炒める時間が少なくて済みます。


玉ねぎは厚めにスライス、椎茸は普通にスライス。


タレは予め合わせておきます。

「醤油:酒:味醂:オイスターソース:ごま油=2:2:1:1:0.5」

くらいがちょうど良いかなと思っています。ここにすりおろしたにんにくと生姜をたっぷり入れます。

生姜もにんにくも、みじん切りにして炒めるよりは、すりおろしてタレと合わせておいた方が、輪郭がはっきりとして僕は好きですね。


後は肉→野菜と炒めて全体に火が通ってきたら、タレを回しかけて炒めます。全体を通して強火で一気に仕上げると、べちゃっと水っぽくなりません。



・ほうれん草とひじきの白和え

戻しておいたひじきを湯通ししておきます。ザルに開けたら隙間から思いの外、たくさんのひじきが脱走してしまいました……もったいない。


ほうれん草は食べやすい大きさにカットした後、容器に入れてラップをし、レンジで加熱しました。

以前は鍋で茹でていたのですが、奥さんが「茹でると栄養がお湯の中に逃げる」と言ったのを聞いて以来、レンジでもイケそうな場合はレンジで加熱することにしています。

「蒸す」という状態に近いでしょうか。


白ごまを擂り鉢でゴリゴリし、香りが立ってきたら豆腐を投入します。僕は豆腐に関しては、ほぼ100%絹ごし豆腐しか使いません。つるんとした食感が好きだからです。ただそれだけです。別に木綿豆腐でも全く問題ないです。

味付けですが、麺つゆや白だしなどの出汁醤油を使ってもいいのですが、液体を使うと和えたときに水っぽくなってしまうので僕は使いません。

「味噌+昆布茶」というのもアリですが、味噌はそのままだと伸びにくいのでこれもあまりやりません。

簡単でおススメなのが、「粉末のうどんだし」です。粉末なのですぐに全体に馴染むし、豆腐の水分を吸い取ってくれるので、和えたときにしっかりとした印象になります。

粉末のうどん出しはかなり使い勝手が良いので何かと大活躍です。



味噌汁と漬物は以前と一緒ですね(まだあるんかい!)

2013年3月13日水曜日

今日の晩ご飯


献立
・エビチリ
・大根とアボカドのサラダ
・なめこと豆腐の味噌汁
・浅漬け
・ひじきの煮物
・白米



・エビチリ

エビは高いので基本的にほとんど買いません。店では毎日200尾くらい揚げてますけど……

以前、奥さんがエビフライ用に買って残った分を使いました。

ただ、エビだけだと分量的に足りません。冷蔵庫を漁ってチリソースに合う食材を探していたところ、もやしとシメジを発見。これらで嵩増ししました。

エビは殻を剥いて、背ワタ腹ワタを取り除き、塩水で洗った後、重曹で下ごしらえ。

チリソースは、ウェイパーをベースに、ケチャップ、にんにくと生姜をすりおろした物を加えます。

にんにくと生姜は、みじん切りにして炒めてもいいのですが、すりおろした方が、本来持っているパンチ力が前面に出てくるので、僕は最近何かに付けて、この二つはすりおろして使っています。

エビは炒める前に片栗粉をまぶして、さっと油通しします。こうすると旨みが逃げず、食感もプリッとします。

もやしとシメジは予め、塩コショウで軽く炒めておきます。

中華鍋に油を敷いたら、豆板醤とみじん切りの長ねぎを投入。エビを加えて炒め、次いで先ほどの野菜も投入。

どちらも火が通っているので、すぐにチリソースを入れます。

ソースが沸騰したらできあがり。

とろみをつける料理は、ソースに予め片栗粉を溶かしておくと、ダマにならずに滑らかに仕上がります。


・大根とアボカドのサラダ
・なめこと豆腐の味噌汁
・浅漬け
・ひじきの煮物


後は昨日と同じです。

基本的に味噌汁や煮物などは一度にたくさん作って、二、三日は持たせるようにしています。

2013年3月12日火曜日

今日の晩ご飯


献立
・じゃが芋と挽肉のコロッケ
・大根とアボカドのサラダ
・なめこと豆腐の味噌汁
・浅漬け
・ひじきの煮物
・白米


・じゃが芋と挽肉のコロッケ

玉ねぎのみじん切りと合い挽肉をバターで炒め、レンジでふかしたじゃが芋と合わせました。じゃが芋のごろごろっとした食感を残すために潰しすぎないようにしました。

僕は平べったい楕円形よりも俵型のコロッケが好きなので、俵型に丸めて揚げます。

ソース、マヨネーズ、練り辛子を付けて。


・大根とアボカドのサラダ

大根は千切りに、アボカドは銀杏切りにして、中華風のドレッシングと和えました。

「オリーブオイル+山葵醤油」でもいけます。オニオンスライスを足しても良かったかもしれません。


・なめこと豆腐の味噌汁

なめこと絹ごし豆腐と若芽の味噌汁です。ツルットロッとした喉越しが何とも言えません。


・浅漬け

蕪と白菜がたくさんあったので漬けておきました。ついでに人参と牛蒡も入れたのですが、この牛蒡の浅漬けが思いのほか美味しくできました。


・ひじきの煮物

ひじき、筍、人参を、出汁と醤油であっさりと煮たものです。汁も飲めるので、煮物というよりはスープに近いかもしれません。

フライのパン粉付けを簡単にする


今日は久し振りに晩ご飯にコロッケを作りました。

玉ねぎと挽肉とじゃが芋の至ってシンプルなコロッケです。

僕はじゃが芋がごろっとしているコロッケが好きなので、潰し過ぎないように注意しています。

パン粉が余ったので、ついでににんにくとチーズのフライも作りました。揚げたにんにくはほくほくと甘味が増してとても美味しいです。

ただ、食べ過ぎると翌日色んなところで大変なことになりかねないので、ひとかけらで我慢しておきましたが。


コロッケやフライは家庭でもポピュラーな養殖です。好きな方も多いと思います。ですが、衣を付ける作業って結構大変ですよね。

小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせ、パン粉をしっかりと付ける。

文字で書くと大したことなさそうですが、一人でやっていると中々苦労します。台所は置き場所がないくらい物で溢れかえり、粉は飛び散るわパン粉は足らなくなるわ……もう一本手が欲しいくらいですよね。

このフライの衣付けの、「小麦粉をまぶして卵にくぐらせる」という二つの作業を一つにまとめてしまう方法があります。

使うのは天ぷら粉です。やり方は簡単です。


・天ぷら粉を、天ぷらを揚げるときと同じような硬さに水で溶く
・そこにタネをくぐらせる
・パン粉をつける

これだけです。

要するに「天ぷらを揚げる直前の状態のタネにパン粉をまぶす」ということですね。


これまでの「小麦粉→卵→パン粉」という3ステップだったのが、「天ぷら粉→パン粉」という2ステップに簡略化できるのです。

僕は以前勤めていた店でこの方法を知ったのですが、それ以来、家でフライやコロッケを作るときはこのやり方で作っています。


さらにこの方法には、「パン粉がまんべんなくタネに付けられる」というメリットがあります。

実際にフライを作ってみると分かるのですが、卵はしっかり溶いておかないと、意外とタネに纏わりつかないというか、食材を弾いてしまうんですね。

小麦粉がまぶされているとさらに弾き易い。するとパン粉の付き方にムラが出てしまいます。

かといって小麦粉を省略すると、今度は揚げたときにパン粉が剥がれてしまう……


この矛盾する二つの悩みを同時に解決できるのが、この「天ぷら粉→パン粉」という方法です。

もちろん、天ぷら粉を付ける前に小麦粉(天ぷら粉)をまぶしておけば完璧ですが、それだと手数的には同じになってしまうので、僕は省略しています。

天ぷら粉が余ったら、適当な食材で天ぷらも作れますしね。

2013年3月11日月曜日

麺を美味しく茹でる最重要ポイント


蕎麦、うどん、スパゲティ、ラーメンなどなど日本は麺類が豊富にあって、どれも美味しいですよね。ご家庭でも登場する機会は多いと思います。

これらの麺類を美味しく茹で上げるには必ず守らなければならないことがあります。


それは

「たっぷりの沸騰し続けたお湯でゆでること」

です。


「沸騰してから麺を入れるのなんて当たり前だろ!」

と言われてしまいそうですが、重要なのは「茹で上がるまで沸騰を持続させること」です。


鍋にお湯を沸かし、沸騰したら麺を入れますよね。

そのとき鍋が小さかったり、麺が多かったりして、麺に対するお湯の量が少ないと、入れた瞬間お湯の温度は急激に下がってしまいます。

そうすると麺が沈んでしまい、中まで充分加熱されず、芯が残ったりして美味しく茹で上げることができません。


麺の入っているパッケージの裏の、茹で方の説明のところには必ずと言っていいほど「たっぷりのお湯で茹でましょう」とあるはず。

「今日はスパゲティにするぞ!」とか「生蕎麦買ってきたから天ぷら蕎麦にしよう」というときは、面倒臭がらずに家にある一番大きな鍋を用意して、たっぷりのお湯を沸かしましょう(予め水の量が決まっているインスタントラーメンは別ですが)。


これは乾麺でも生麺でも同じですが、特に生麺では麺に対するお湯の量は重要です。

なぜなら、乾麺と比べて、茹で時間が圧倒的に短いからです。

僕の勤めている蕎麦屋で出している蕎麦は、製麺機を使って作った蕎麦と手打ち蕎麦の二種類があります。

どちらも毎朝店で打った物を出していますが、製麺機の蕎麦(一般的な太さの蕎麦です)でだいたい1分40秒~50秒程です。手打ち蕎麦では1分程度で茹で上がります。

茹で時間が短い上に鍋に入れた瞬間温度が下がってしまったら、再び沸騰する前に時間が来てしまいます。

もし家に大きな鍋がなくて何人か分の生麺を茹でる場合は、多少手間ですが、一度に全員分を茹でようとせず、一人前ずつ茹でることをお勧めします。


「硬めの麺が好き」という方も、あくまで沸騰を保持した状態で茹で時間を短めにしてください。

お湯の温度が低いままで茹でてしまって、結果的に硬くなった麺というのは、きちんと茹で上がっていません。これでは芯の残った米と同じ、生煮えです。全く美味しくありませんし場合によっては消化不良を起こしてしまいます。

僕もスパゲティが好きでよく作りますが、少しコシが残っている方が好きなので、標準の茹で時間の1分前で引き上げるようにしています(乾麺の場合)。


ところでこの「食材の投入により鍋の温度が急激に下がって上手く仕上がらない」という現象、何かと似ていると思いませんか?

そう、以前お話した、「唐揚げがカラッと揚がらない」という話と全く同じでなんですね。

揚げるときも茹でるときも、大事なのは鍋の中のお湯または油の温度を下げないことが重要です。

2013年3月8日金曜日

大活躍の温泉卵をマスターする!


カレーライスや牛丼、ハンバーグにスパゲティ、さらには焼き魚など、和洋中問わずトッピングとして大人気の温泉卵。もちろんそのままアツアツのご飯にかけても醤油をたらしても文句なしに美味しいですよね。

そんな何かと大活躍の温泉卵、コンビニでも売っているのでお手軽に手に入りますが、「ちょっと物足りないな」というとき家でササッと作れたらカッコいいと思いませんか?


作り方はとても簡単です。

・水を張った鍋を火にかけ、沸騰したら止める
・すぐに卵を沈める
・7分経ったら引き上げて、すぐに冷水に取る

これだけです。


注意点としては、お湯の量に対しての卵の数ですね。

卵の数が増えるほど、入れたときのお湯の温度が下がりやすくなるため、上手く固まってくれません。

一般的な家庭でよく使われている、直径20センチほどの手鍋の場合の目安としては、水を八分目まで入れたとすると、卵は三個までですね。それ以上入れてしまうと固まりにくくなってしまいます。


そしてもう一つ、卵が常温に戻してあるかどうか。

常温になっていれば7分でも大丈夫ですが、冷蔵庫から取り出したばかりの場合はもう少し長めに入れておいた方がいいかもしれません。

鍋の大きさは各家庭でまちまちですので、何度か試してみてちょうど良い水の量と卵の量を見つけてみてください。


そもそも卵白と卵黄では固まる温度が異なります。

卵白は56~58度で凝固が始まり、62~65度で流動性を失います。そして80度で完全に凝固します。

一方卵黄は、64~65度で凝固が始まり、70度で完全に凝固します。

卵白と卵黄が両方とも「完全には固まらない状態」にしたものが温泉卵です。

ですので、本来であれば、65~69度のお湯に、13~15分程度入れておくと温泉卵ができあがるのです。

温泉は常に温度が一定に保たれているので、ちょうどこの温度の湧き出る温泉に卵を浸けておけば自然と温泉卵ができてしまうんですね。

しかし、温度計とにらめっこしながら長時間一定の温度を保つというのは家庭では難しい作業ですよね。僕も以前は店でよくやっていましたが、結構面倒臭いですし、油断するとすぐに温度が変わってしまって失敗してしまいます。

でも一度沸騰させて、火を止めるだけなら簡単ですよね。まずは一個から。是非お試しあれ。

茹で卵は沸騰してから5分7分10分


黄身がトロッとした茹で卵、美味しいですよね。ラーメン屋さんでも定番のトッピングです。

半熟茹で卵を作りたいけど、タイミングが分からず結局いつも硬茹でになってしまう……

そんな方は次のように覚えておくと簡単です。

「茹で卵は沸騰してから5分7分10分」


卵は水から茹でます。

火にかけて、沸騰し始めから時間を計ります。

・5分なら……「黄身トロ」
・7分なら……「半熟」
・10分以上で……「硬茹で」

これだけです。

卵の大きさで多少、硬さが変わってきますが、その辺は微調整してください。

普通の茹で卵を作る場合は10分以上で火が通るので、それほど時間にシビアになる必要はありません。

それと大事なのは、時間が来たら、すぐに冷水に入れて冷やすことです。

火は止めたものの、鍋に入ったままの状態で放置しておいたら、その後もどんどん加熱が進んでしまって結局硬茹でになってしまいますから。

また、急激に冷やすことにより、殻も剥き易くなりますよ。


殻を剥き易くするには、次のような方法があります。

・茹でる前に卵のお尻(楕円のカーブが緩い方)を、台などに打ち付けて軽く罅を入れる
・茹でるとき、塩を一摘み入れる
・茹で上がったら急速に冷ます
・冷ましている冷水の中で、殻全体に罅を入れる


生卵の状態で罅を入れるのは、最初は勇気がいるかもしれません。ですが、卵の殻は結構丈夫だし、すぐ内側には薄皮もあります。それに卵のお尻には空間があるので、そう簡単には中身は漏れてきません。恐れずに「コツッ」とやってみてください。


売られている卵は、必ず楕円の尖った方が下を向いています。なぜならその方が長持ちするからです。

家で保存する場合も、必ず尖った方を下に向けておきましょう。

根菜と葉菜の茹で方は違う


人参、大根、じゃが芋、牛蒡、さつま芋……

土の中で育つ野菜が根菜ですね。

根菜は水から茹でます。

基本的に根菜は硬い物が多いので、いきなり熱いお湯に入れて茹でようとしても、外側だけが加熱されてしまい中まで火が通りません。

茹でる水と一緒に、ゆっくりと時間をかけて加熱していきましょう。


ただし例外があります。蕪です。

蕪は根菜ですが、皮を向いて茹でると意外と火の通りが早いのです。

僕は味も見た目も好きなので蕪をよく買ってきます。定番は浅漬け。味噌汁にもいいですね。あと、鶏肉と一緒に煮て、塩味であっさりと仕上げるととても美味しいです。

しかし、ある程度の歯応えは残しておきたいところ。茹で過ぎてふにゃふにゃになった蕪はあまり美味しくありません。

じゃが芋や大根と同じ感覚で水から茹でてしまうと、出来上がりの頃には相当柔らかくなってしまいます。割と硬めに仕上げたいので、八割方完成した頃に入れるようにしています(カットの大きさにもよりますが)。


そういえば以前テレビで見たのですが、ドイツかどこかの国では、じゃが芋を茹でるとき、早く中まで火が通るように、じゃが芋に釘を刺して茹でていましたね。結構衝撃映像でした。


逆に、白菜、キャベツ、ほうれん草、春菊などの葉菜を茹でるときは、沸騰したお湯に入れて茹でます。

葉菜は薄いのですぐに火が通ります。茹で時間は短くて大丈夫。熱湯で1~2分、生でも食べられるような野菜であれば、さっとくぐらせる程度でも充分です。

ブロッコリーとアスパラガスは茎がしっかりとしていますが、茹で方は葉菜と同じです。沸騰してから茹でましょう。

ブロッコリーは一房? 一花? とにかく一口大のあの一塊に切ったものを、沸騰したお湯に投入し、蓋をして二分。これでちょうど良い硬さに茹で上がります。


いずれにせよ茹で過ぎは美味しさを損ないます。自分なりの好みとタイミングを把握しておきましょう。

2013年3月5日火曜日

米一合に対して水200ミリリットル


米の話。

米を研ぐときに、炊飯ジャーの釜の中で直接研ぐ人って結構多いような気がします。僕の奥さんもそうです。

でも、それを続けていると、釜の内側がダメージを受けて徐々に傷んできてしまうので、あまりよろしくないのではないかと思われます。研ぎ汁を流すときも、一緒に何粒か米が流れてしまうこともしばしばですし。

それ以上に、研ぎ始めの糠っぽい研ぎ汁を米が吸ってしまって、風味が損なわれてしまう気がします。

なので僕は米を研ぐときはザルで研いでいます。

ザルの中で水を流しながら研ぐと、濁った研ぎ汁はすぐに流れていくので、吸い込む心配はありません。

さらに、ザルの中で米をかき混ぜることにより、硬い網目が文字通り適度に「研いで」くれます。


この方法は僕が考え出したわけではありません。学生時代の友人の大谷クンがやっているのを見て「コレは良い!」と感動して取り入れた方法です。


米についてのおさらい。

・米一合は180ミリリットル(日本酒一合と同じ)
・米一合は150グラム
・通常の水加減は米一合に対して水200ミリリットル


炊飯ジャーの釜の内側には水加減のメモリが付いていますが、それに合わせて水を足したり減らしたりするのが面倒なので、僕はメモリは見ません。

一合につき200ミリリットル、つまりカップすり切り一杯でちょうど良いのです。ただ、この量り方をするには研いだ米の水を切っておく必要があります。そのためにもザルで研ぐ方が便利なのです。

「一合=200ミリリットル」というのを知っておけば、土鍋で炊くときや、キャンプなど外で炊くときなんかでも、水加減で迷わなくて済みます。

ただ、新米の場合は少し違います。新米は米に水分が残っているので、いつもと同じような水加減で炊いてしまうと柔らかめに炊きあがってしまうので注意してください。


ちなみに僕はときどき一人用の小さな土鍋をガス台に乗せて米を炊きますが、こちらの方が断然美味いです。

ふっくら艶々で、米が一粒一粒立っていて見るからに美味しそう。火加減は多少面倒なんですけどね。

2013年3月4日月曜日

牛蒡の唐揚げ


先日、仕事の後で奥さんと飲みに行きました。家の近所です。

飲みに行く、と言っても僕は弱いので、たいていの場合一杯、調子がいいときでも二杯しか飲めません。奥さんはめちゃくちゃ強いですが。

しかも弱いクセに芋焼酎が好きなんですね。それもロックでしか飲まないという……

そのお店は、行ったことはなかったのですが、焼酎が豊富に置いてあるようでしたので、前から気になっていたのです。

焼酎と鳥取の大山鶏(だいせんどり)をメインに出しているお店です。

芋焼酎は好きですが、それほど銘柄に詳しいわけではありません。メニューにはたくさんの名前が並んでいて、どれがどれやら……

お気に入りは橘ですが、こういう場所へ来たら、やはり普段飲んだことのない銘柄に挑戦してみたくなりますよね。

何杯か飲めるなら「とりあえず」で頼めるのですが、僕の場合は一杯しか飲めないので、安易には選べません。名前がカッコよかったので「黒伊佐錦」にしてみました(安易に選んでる)。甘味とコクがあって、なかなか美味しかったです。

奥さんは宮崎出身のクセに焼酎はからっきし飲めません。もっぱらビールですね。ここは珍しく、恵比寿の生ビールが置いてありました。

さて、初めてのお店ですから、何が美味しいのかさっぱりわかりません。どの料理を頼むかで迷っていると、カウンターで一人で飲んでいる、30代前半くらいのサラリーマン風の男性が、不意に声をかけて来ました。

「牛蒡の唐揚げがおススメですよ!」

と人懐こい笑顔で話しかけてきます。話を聞くと彼は、今日、長野から仕事で来たのだそうです(お店は埼玉県です)。多分、以前このお店の常連だったのでしょう、お店の人とも仲良く喋っています。

「実は牛蒡の唐揚げはメニューにないんですよ。前は置いてあったんですけどね。でも、僕は大好きで、それがどうしても食べたかった。だから昨日電話して、わざわざ作ってもらったんです」

確かにメニューには書いてありません。

「一人前だけ作ってくれるのかなって思って来たら、壁に貼り出されているじゃないですか。ということは何人前かは作れるということですよね。僕も無理を言って用意してもらった手前、なるべく多くの人に食べて欲しいんです。コレ、今日しか食べられないですよ。絶対に美味しいからゼヒ頼んでみてください!」

メニュー表には無いものの、確かに壁には「牛蒡の唐揚げ」と手書きの即席メニューが貼り出されています。

そこまで言われては頼むしかありません。僕たちは早速注文しました。しばし待って、出てきた牛蒡の唐揚げ。長さは5センチくらい、太さは牛蒡を四つに割ったくらいでしょうか。

一つ箸で摘まんでみます。見た目は特に変わったところはありません。しかし一口食べると……美味い!

想像していた「牛蒡揚げ」とは違って、中がとても柔らかく、なおかつ味が染み込んでいる。外側は薄衣でさっくり。牛蒡を揚げてこの食感。これまでに食べたことのない味でした。

「どうですか? 美味しいでしょう? それ、揚げる前に一度煮てあるんです。凄く美味しいんですけどね、手間がかかるからってメニューから外しちゃったんです」

と、店長をチラ見しながら残念そうに言いました。でも彼は、自分の一押しの一品の美味しさが、見知らぬ僕たちと分かち合えたことがとても嬉しそうでした。


ありふれた素材でも、工夫次第でいくらでも美味しくなるんだなあ、と改めて思い知らされました。そして彼がいたからこそ美味しい料理を食べられたという偶然に感謝した夜でした。

2013年3月1日金曜日

ふっくらジューシーな鶏の唐揚げ


いつもの鶏の唐揚げの食感を、お手軽にワンランクアップさせる方法をご紹介します。


材料や味付けはいつもと同じで構いません。醤油ベースで下味を付けてもいいですし、市販の唐揚げ粉を使ってもいいです。お好きな物をどうぞ。

使う油も一緒です。


ですが揚げ方をちょっと工夫するだけで、いつもの唐揚げがふっくらジューシーな食感になります。

どうするのかというと、「二度揚げ」するのです。


やり方は簡単です。

・まず通常通り衣を付けた鶏肉を揚げ油に投入
・二分間揚げたら鍋から取り出す
・二分間休ませる
・再び揚げ油に投入し、二分間揚げる

これでできあがりです。


目安となる鶏肉の大きさはだいたい30~35グラムくらいです。お弁当屋さんで売っている唐揚げ弁当くらいのサイズですね。

一度に中まで火を通そうとして長めに揚げ続けると、どうしても肉が硬くなってしまいがちです。もも肉であれば、加熱を続けてもそこまで硬くはならないのですが、胸肉でやってみるとその差は歴然です。


一旦引き揚げて肉を休ませ、余熱でじわじわと中まで熱を通してあげるんですね。

鶏肉は生では食べられません。ですからきちんと中まで火が通ったか心配になり、長めに揚げてしまいがちです。しかし、それだと衣が揚げ過ぎの状態になってしまうことも多々あります。

「二度揚げ」は揚げ過ぎを防ぎ、なおかつ本来の肉の美味さを引き出してあげることができます。


ちなみに「二度揚げ」は唐揚げだけにしてください。天ぷらやフライでやってしまうと、逆に衣が油を吸ってしまいますので。

唐揚げがカラッと揚がらない


唐揚げがカリッと上手く揚がらない……

唐揚げに限らず、天ぷらやフライなど、揚げ物全般において、衣がカリッとサクッとならない、という方は割と多いような気がします。


揚げ物が上手く揚がらない原因のほとんどは、油の温度にあります。

温度といっても揚げる前の温度のことではありません。180度とか150度とか、それは料理によって変わってきますので、レシピ通りに調節してください。

そうではなくて、僕が言いたいのは食材を投入した後の温度のことです。


例えば僕の持っている料理の本には、鶏の唐揚げは「一口大に切った鶏もも肉を、170度~180度で3~4分揚げる」と書いてあります。

揚げる前にきちんと油を180度にしておいても、冷たい鶏肉を投入すれば当然温度は下がりますよね。つまり、食材を入れた時点で、もはや鍋の油は180度ではなくなっているのです。

低い温度の油で揚げた食材は、中まで火が通らないばかりか油切れも悪くなり、衣もベチャっとしてしまいがちです。

「180度で3分揚げる」と書いてあるのにそれ以下の温度になってしまったら、思い描いていたように揚がらないのは当たり前のことなのです。


ちなみに飲食店の厨房に置いてあるフライヤー(揚げ物専用の設備)は、油の温度が一定に保てるようになっています。食材を大量に投入したり、油を足したりして温度が下がったら、自動的に強火になって、元の設定温度まで素早く調節してくれるんですね。

これにより、誰が調理しても一定した揚がり具合の商品を提供できるのです。いちいち自分で火加減を調節していては、揚げる人によってバラつきが出てしまいますから。

もちろんそれなりのお店、プロの調理人がいるお店では、フライヤーなどに頼らないところもありますけど。


家庭における揚げ物をするときの注意点は

・なるべく油をケチらないでたくさん使う
・食材を入れ過ぎない
・食材を入れたら火を強めて少しでも早く元の温度に戻す


この三点です。

要するに油の量に対して食材の割合が多くなるほど温度が下がりやすくなるのです。

とはいえ、家庭用の鍋ではそこまでたくさん油が入る大きな鍋はありません。ですから「一度に揚げ過ぎないこと」が重要になってきます。


早く作り終えて、早く片付けてしまいたい気持ちは分かります。

ですが、だからといって「ええい面倒だ、全部入れちゃえ!」とやってしまっては、せっかく美味しくなるはずの料理も台無しです。小さい鍋にたくさん入れてしまうと、温度もそうですが、食材同士もくっついてしまいますよ。

僕はずっとガスコンロを使ってきているのですが、IHクッキングヒーターは揚げ物温度調節機能もあるようですね。それだと温度調節に関してはお任せできるので、揚げ物もだいぶ楽なのではないでしょうか。

玉村豊男さんの料理の四面体


焼く、炒める、炒る、揚げる、煮る、茹でる、蒸す、燻す……

料理をするということは結局は食材を加熱するということです。


もちろんサラダや刺し身など生のままで食べる場合もあるし、納豆や漬物のように発酵させたり塩漬けにして火を通さずに加工するものもあります。

ですが、一般的に「料理をする」と言った場合、何らかの形で加熱することを指します。


この加熱について、論理的かつ非常に分かりやすく解説した本があります。それが玉村豊男さんの「料理の四面体」です。

エッセイストで、ワイナリーも持っている玉村豊男さんは、世界中を旅し、主に食文化についての本を多数執筆されています。

僕がこの「料理の四面体」という本に出会ったのは、かれこれ10年くらい前だったような気がします。確かその頃、週刊朝日か何かの雑誌でコラムを書いていて、彼の名前を知りました(記憶は定かではありませんが……)。

初めからこの本のことを知っていたわけではなく、図書館に行ったときに、彼の本があったので、たまたま手にとって借りて読んだのです。

手元に置いてある訳ではないのでうろ覚えではありますが、加熱の他にも、出汁の組み合わせのことなど、料理の原理原則が丁寧に書かれています。

「原理原則」なんていうと小難しそうですが、そんなことは全くありません。数々のエッセイを出している彼の文章は軽快でとても読みやすい。

僕はこの本を、料理初心者だけでなく、料理をする全ての人に読んで欲しいと思います。


料理というのは不思議な物で、続けていれば誰に教わらなくてもある程度は作れるようになります。

かくいう僕も特に教わったり習ったりしたことはないので自己流に近い物はあります(ただ、飲食店で働いているとメニューが季節ごとに入れ替わるので、家で作っているだけでは知り得ないような食材や調理法もそこそこ経験できますが)。

ある程度経験を積むと、野菜の切り方や火加減などその人なりの基準ができてきます。調味料なんかで言えばいわゆる「目分量」というやつですね。

ですが、米を炊くのに水の量が決まっているように、やはり料理にも基準となる調味料の割合や火加減、水加減、食材の組み合わせといったものがあります。「型」と言ってもいいでしょう。

料理経験の浅い方は、まずこの「型」をしっかり身に付けた方がいいと思います。最初からレシピを無視して自己流のアレンジを加えていては、いつまでたっても味が安定しません。

奇抜な絵を描いたピカソだって、基本のデッサンは物凄く上手なのです。

まずはありふれた定番メニューをありふれた味で作れるようにすること。これが料理上手への近道だと思います。

そして行き詰ったときこの「料理の四面体」を読んでみてください。「四面体」という考え方に、正に目から鱗が落ちますよ。