2013年3月1日金曜日

玉村豊男さんの料理の四面体


焼く、炒める、炒る、揚げる、煮る、茹でる、蒸す、燻す……

料理をするということは結局は食材を加熱するということです。


もちろんサラダや刺し身など生のままで食べる場合もあるし、納豆や漬物のように発酵させたり塩漬けにして火を通さずに加工するものもあります。

ですが、一般的に「料理をする」と言った場合、何らかの形で加熱することを指します。


この加熱について、論理的かつ非常に分かりやすく解説した本があります。それが玉村豊男さんの「料理の四面体」です。

エッセイストで、ワイナリーも持っている玉村豊男さんは、世界中を旅し、主に食文化についての本を多数執筆されています。

僕がこの「料理の四面体」という本に出会ったのは、かれこれ10年くらい前だったような気がします。確かその頃、週刊朝日か何かの雑誌でコラムを書いていて、彼の名前を知りました(記憶は定かではありませんが……)。

初めからこの本のことを知っていたわけではなく、図書館に行ったときに、彼の本があったので、たまたま手にとって借りて読んだのです。

手元に置いてある訳ではないのでうろ覚えではありますが、加熱の他にも、出汁の組み合わせのことなど、料理の原理原則が丁寧に書かれています。

「原理原則」なんていうと小難しそうですが、そんなことは全くありません。数々のエッセイを出している彼の文章は軽快でとても読みやすい。

僕はこの本を、料理初心者だけでなく、料理をする全ての人に読んで欲しいと思います。


料理というのは不思議な物で、続けていれば誰に教わらなくてもある程度は作れるようになります。

かくいう僕も特に教わったり習ったりしたことはないので自己流に近い物はあります(ただ、飲食店で働いているとメニューが季節ごとに入れ替わるので、家で作っているだけでは知り得ないような食材や調理法もそこそこ経験できますが)。

ある程度経験を積むと、野菜の切り方や火加減などその人なりの基準ができてきます。調味料なんかで言えばいわゆる「目分量」というやつですね。

ですが、米を炊くのに水の量が決まっているように、やはり料理にも基準となる調味料の割合や火加減、水加減、食材の組み合わせといったものがあります。「型」と言ってもいいでしょう。

料理経験の浅い方は、まずこの「型」をしっかり身に付けた方がいいと思います。最初からレシピを無視して自己流のアレンジを加えていては、いつまでたっても味が安定しません。

奇抜な絵を描いたピカソだって、基本のデッサンは物凄く上手なのです。

まずはありふれた定番メニューをありふれた味で作れるようにすること。これが料理上手への近道だと思います。

そして行き詰ったときこの「料理の四面体」を読んでみてください。「四面体」という考え方に、正に目から鱗が落ちますよ。

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